自律神経に対する鍼治療の効果
鍼治療が自律神経に与える影響
鍼治療は自律神経のバランスを整える効果があることが様々な研究や臨床経験から示されています。特に交感神経と副交感神経のバランスを調整し、乱れた自律神経機能を正常化する働きがあります。
主な作用メカニズム
副交感神経の活性化
鍼刺激によってリラックス効果が生まれ、副交感神経が優位になることでストレスを軽減させます。
特定のツボを刺激することで副交感神経が活性化し、交感神経の活動が抑制されることが研究で示されています。
β-エンドルフィンの分泌促進
最近の研究において、鍼治療がβエンドルフィンという神経ペプチドの分泌を活性化させ、自律神経の機能を活性化させるというデータが報告されています。
血流改善効果
鍼刺激が皮膚や筋肉に与えられると、局所的に血流が促進されます。
「鍼刺激に血液循環の改善作用があることは、動物を用いた研究で証明されています」と報告されています。
体性-自律神経反射
鍼や灸の刺激は体表から皮膚や筋肉を刺激し、体性-自律神経反射を介して内臓機能を調節すると考えられています。
自律神経失調症に対する効果
自律神経失調症の様々な症状に対して鍼治療が効果を示すことが報告されています。
症状緩和効果
不眠、めまい、頭痛、肩こり、疲労感、動悸、胃腸障害などの症状を緩和。
リラックス効果により、不安感やイライラ、緊張などの精神的症状も改善。
筋肉緊張の緩和
筋肉の緊張を緩和することで、発痛物質の生成を抑制し、肩こりなどの症状を軽減します。
「自律神経失調症に鍼がおすすめである理由の1つが、筋肉の緊張を緩和できること」と報告されています。
呼吸の調整
「鍼治療は呼吸に関係する筋肉を調整することで呼吸を整えて、乱れた自律神経を整えることにアプローチする」と説明されています。
ストレス軽減効果
鍼灸治療は、自律神経の調整作用、血行促進効果、リラックス効果によって、ストレスによる症状を緩和する効果が期待できます。
効果的な施術部位
頭皮への施術
「頭皮へ鍼の刺激を加えることで、視床下部への血流を高める効果があると言われており効果的に自律神経へアプローチすることが可能」とされています。
胸椎・腰椎への施術
「自律神経失調症に対する施術の中で、特に重要なポイントになるのが、胸椎や腰椎の棘突起(背骨の中央にある大きな突起)を指圧する手技」と報告されています。
特定のツボ刺激
「特定のツボに鍼を刺すことで、副交感神経を優位にさせ、体をリラックスさせることができます」とされています。
治療上の注意点
回復期の過ごし方
「鍼灸を受けた後は自律神経が整うため、体を回復させようとする力が活発になります。回復状態にあるなかで、激しい運動をしたり、忙しく働いたりすると、回復に向かっている状態を妨げてしまいます」という点に注意が必要です。
治療の継続性
症状や個人差によって効果が現れるまでの期間は異なりますが、継続的な治療が推奨されています。
生活習慣の改善との併用
「ウォーキングやヨガなどの穏やかな運動」「深呼吸」などの生活習慣改善と併用することで、より効果的とされています。
まとめ
鍼治療は自律神経系に対して科学的にも効果が示されている治療法です。特に、副交感神経の活性化、血流改善、ストレス軽減などの作用により、自律神経失調症の様々な症状を緩和することが期待できます。治療効果は穏やかで副作用も少ないため、薬物療法と併用したり、自然な方法で自律神経のバランスを整えたいという方には適した治療法と言えるでしょう。
最後に
個人の症状や体質によって効果の現れ方や治療の頻度は異なります。
当院の鍼灸施術は患者様に合わせたオーダーメイドの治療を行っていますので、お気軽にご相談下さい。